「薬を飲んでも眠気を感じないから大丈夫」。そう確信しているドライバーほど、重大事故のリスクを抱えているかもしれない。医学界で「インペアード・パフォーマンス(気付きにくい能力低下)」と呼ばれるこの病態は、本人が眠気を感じていないにもかかわらず、集中力、判断力、作業効率が著しく低下する現象を指す。
アレルギー反応を引き起こすヒスタミンは、脳内では覚醒や学習、記憶を司る重要な神経伝達物質として機能している。薬が血液脳関門を通過して脳内に侵入すると、ヒスタミンの覚醒シグナルを遮断してしまう。その結果、血中アルコール濃度が基準値を超えた泥酔状態に匹敵するレベルで作業能率が落ち込むのだ。本人に「ぼーっとしている」自覚がまったくない点が、この副作用の最も厄介な側面に他ならない。