アイコスへの移行を「減煙」や「禁煙」への第一歩と捉える人がいるが、これは公衆衛生上の大きな誤解だ。IQOS ILUMA (アイコス イルマ) やTEREA (テリア) を使用した際の血中ニコチン濃度の上昇ピークは、驚くほど紙巻きタバコに近い。
吸入されたニコチンは数秒で脳の報酬系に到達し、ドパミンを過剰に放出させる。この神経回路の改変こそがニコチン依存症の本質だ。アイコスに切り替えても脳が求めるニコチン要求量は低下せず、依存状態は強固に維持される。
さらに、煙や灰が出ない手軽さが裏目に出るケースも目立つ。室内や車内、あるいは短時間の隙間時間でも頻繁に吸えてしまうため、無意識のうちに1日の使用回数が増加し、かえってニコチン依存症を重症化させるリスクを孕んでいる。ニコチンそのものが持つ血管収縮作用や脈拍増加といった心血管系への負荷も無視できない。