リハビリ現場で長年ささやかれてきた「発症後6ヶ月で回復は頭打ちになる」という言説。いわゆるプラトー(停滞期)の壁だ。だが、脳神経科学の進展はこの常識を真っ向から否定する。最前線で治療にあたる脳神経外科医は、「脳は一度損なわれたら二度と再生しないという概念は過去のものになりつつある」と指摘する。
カギを握るのは、損傷を免れた脳の神経細胞が新たなネットワークを構築する「神経可塑性」の働きだ。特に半身に力が入らなくなる片麻痺に対しては、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)と集中リハビリを組み合わせた手法が大きな成果を上げている。磁気で脳の特定領域をピンポイントで刺激し、神経回路の再接続を促す仕組みだ。これにより、発症から1年以上が経過した患者でも、手の指が再び動き始めるケースが目立ち始めている。