本楽曲の魅力は、歌詞だけでなく計算され尽くした音楽理論にも宿っています。基本キーは変ロ長調(B♭メジャー)で始まり、イントロからAメロにかけては、ピアノのミニマルな分散和音が淡々と刻まれます。この「抑制されたピアノフレーズ」が、主人公の孤独感と心細さを聴覚的に演出しています。
特筆すべきはサビ前のコード進行です。カノン進行をベースにしながらも、サブドミナントマイナー(E♭m)やオンコードを絶妙に挟み込むことで、聴き手に「切なさと希望が同居する独特の浮遊感」をもたらします。さらにラストサビに向けてストリングスとドラムが加わり、一気にダイナミクスを広げる構成は、プロの音楽理論家からも高い評価を得ています。
市販されているピアノ楽譜でも、初級者向けのアレンジから上級者向けのフルスコアまで幅広いバリエーションが存在します。メロディの音数が少なく空間を意識した音作りがされているため、打鍵の強弱やペダリングのコントロールが演奏表現の成否を分けるポイントとなります。
また、国際展開を見据えて制作された英語バージョン(『Is there still anything that love can do?』)では、野田氏自身が英語詞のローカライズを担当。日本語特有の余白やニュアンスを損なうことなく、英語のリズムに合わせて見事にリライトされており、海外ファンからも絶大な支持を獲得しています。