クライマックスへ向けて物語が急展開を迎えるなか、テレビ画面を支配したのは「霜降り明星のせいや」ではなく、底知れぬ憎悪を抱えた一人の男だった。彼が演じた田中正志という役柄は、単なる記号的な悪役にとどまらない。村の忌まわしい過去、家族を巡る屈折した怨念、そして静かに研ぎ澄まされた復讐心。その複雑に入り組んだ内面を、彼は過度な大芝居に逃げることなく表現してみせた。
口元の微かな歪み。声を張らずに吐き出す低音の吐息。その一つひとつの所作が、お笑い芸人の副業という生ぬるい枠組みを完全に引きちぎっていた。画面越しに伝わる圧倒的な異物感に、視聴者は呼吸することすら忘れた。