春先、街路樹や日本庭園で真っ白な花を枝いっぱいに咲かせている樹木を見かけた際、多くの人が「こぶしなのか、それとも白木蓮なのか」と足を止めます。園芸相談窓口や植物園のガイドツアーでも毎年のように最多クラスの質問として寄せられるのが、この2種の識別問題です。同じモクレン科モクレン属に属する近縁種であるため遠目には酷似していますが、植物としての特徴をつぶさに観察すると、誰でも一瞬で見極められる明確な相違点が存在します。
見分けるための最大のチェックポイントは、「花の開き方と咲く向き」、「花びらの枚数と質感」、そして花首の根元にある「1枚の小さな葉」です。白木蓮は花びらが肉厚で、花全体が上を向いたまま半開きのような端正なカップ型を保って咲きます。これに対してこぶしは、花びらが薄く、枝先から斜めや横など自由奔放な方向を向いて全開に開ききるのが特徴です。さらに、こぶしの花弁の付け根には必ず小さな緑の葉がチョコンと1枚添えられているのに対し、白木蓮は開花段階では葉が一切出ず、花だけが枝を覆い尽くします。
開花時期にも微妙なズレがあり、一般に同一地域では白木蓮が3月中旬から下旬にかけて先行して咲き、それを追いかけるように3月下旬から4月上旬にかけてこぶしが見頃を迎えます。以下の比較表で両者の決定的差異を整理しました。