温和でジェントルマンなパブリックイメージを持つ岡本圭人ですが、その芯の強さは父親による徹底した「荒療治」によって培われました。公式インタビュー等で明かされている通り、圭人は小学4年生の時、父親・健一の強い意向により、単身でイギリス・サフォーク州の全寮制スクールへ留学させられました。驚くべきことに、当時の圭人は英語のアルファベットすら満足に書けない状態でした。
現地では2学年下のクラスに編入されたものの、学校にもホームステイ先にも日本語を話せる人間は皆無。最初の数か月間は極度の言語の壁から、ほとんど声を発することができない失語に近い状態に追い込まれたといいます。しかし、逃げ場のない極限状況の中で必死に食らいつき、5年間の英国生活を経てネイティブレベルの英語力と英国紳士としての教養を身につけました。この不屈のバイタリティこそが、後の俳優人生の土台となります。
2007年の帰国後にHey! Say! JUMPとして華々しくデビューした圭人でしたが、グループ活動を続ける中で「表現者としての根本的な実力不足」に激しく苦悩することになります。2018年、活動を一時休止して演劇の殿堂である米ニューヨークの演劇学校(アメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツ:AADA)へ単身留学。過酷な演技トレーニングと厳しい選抜を潜り抜け、2020年に同校を卒業しました。
そして2021年4月、岡本圭人はグループからの脱退を発表します。この脱退理由を巡っては、当時ファンの間でも大きな動揺が走りました。しかし圭人の胸中にあったのは、「アイドルと俳優の二足のわらじ」に対する生半可な妥協を排し、残りの人生のすべてを舞台芸術に捧げたいという退路を断った覚悟でした。父親の七光りに安住せず、グループの看板に甘えることもなく、丸裸の一俳優として荒波へ飛び込む決断を下した瞬間でした。