SNSやネット掲示板上では「盛り上がったニキビ跡を針で刺して膿を出した」「強いピーリング剤で削り落とした」といった極めて危険な民間療法が散見されます。断言しますが、ケロイド体質を自力で治す試みには壊滅的な危険性が伴います。自力ケアを試みた患者の多くが、結果として病変を数倍に肥大化させて皮膚科に駆け込んでいるのが現場の偽らざる実態です。
病変の内部では、微小血管が異常増殖し、慢性的な局所炎症が燻り続けています。この状態の皮膚に対して、自己判断で強い摩擦を加えたり、圧出を試みたりすると、組織内組織が再破壊されて新たな創傷治癒プロセスがトリガーされます。その結果、線維芽細胞はさらなるコラーゲン産生を命じられたと誤認し、瘢痕組織をより強固に、より巨大に増殖させます。これこそがケロイド状ニキビ跡の悪化の真相です。
また、フェイスラインは咀嚼運動や首の回旋運動、衣服や寝具との摩擦によって、日常的に強い伸展刺激(テンション)に晒されています。フェイスラインのニキビ跡にしこりが多発しやすいのはこの力学的要因が関与しており、セルフマッサージや美顔ローラーなどの刺激を加える行為は、火に油を注ぐ結果にしかなりません。市販の抗炎症外用薬や保湿剤だけで過剰増殖したコラーゲン線維の結合組織を融解・再構築することは医学的に不可能です。