横浜が『名探偵コナン』の聖地として特別な地位を占めている理由は、劇場版だけにとどまりません。テレビアニメおよび原作コミックス第34巻に収録された名作エピソード『横浜中華街 雨のデジャビュ』(アニメ第284〜285話)の存在が、ファンの巡礼熱を長年にわたって支えています。
このエピソードでは、映画のペアチケットが当たった小五郎に代わり、蘭がコナンを連れて横浜中華街を訪れます。雨の中華街で蘭が過去の記憶(ニューヨーク事件での新一や赤井秀一との遭遇)をフラッシュバックさせながら高熱で倒れる劇的な展開は、シリーズ全体の縦軸に関わる重要回として知られています。アニメ本編の冒頭では、中華街の東門にあたる「朝陽門」やメインストリートの「中華街大通り」、そして「善隣門」が鮮やかに描かれました。さらに、食事の前後に立ち寄る周辺スポットとして、山下公園の氷川丸や改修前の横浜マリンタワーが背景に映し出されており、みなとみらいエリアから中華街・山下公園へと続く一連のルートがそのままコナン聖地巡礼マップとして機能しています。
そして2026年、横浜の聖地巡礼に新たな歴史を刻んだのが劇場版第29作『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』です。神奈川県警交通機動隊の萩原千速(はぎわら ちはや)がメインキャラクターとして躍動する本作では、馬車道・日本大通りエリアに実在する神奈川県警察本部の庁舎が捜査の拠点として描かれました。神奈川県警本部は、『探偵たちの鎮魂歌』で横溝重悟警部が登場した際にも外観が描かれており、20年の時を経て再び脚光を浴びています。
報道各社の取材データや聖地巡礼専門メディアの調査によると、『ハイウェイの堕天使』では首都高速道路の「神奈川1号横羽線」を舞台にした迫力のチェイスシーンや、みなとみらい地区の最新ビル群、さらには翌年に開催を控える「GREEN EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)」との連動企画も話題を集め、神奈川県全域への経済波及効果を生み出しています。ここで、歴代の名探偵コナン映画舞台一覧の中から、横浜関連作品および近年の主要作品を客観的データで比較してみましょう。
上の表が示す通り、全29作品におよぶ劇場版シリーズの中で、横浜は東京都心に次いでアクセスしやすく、かつ新旧複数の作品が重なり合う稀有なエリアとなっています。