BL(ボーイズラブ)漫画とは、主に男性同士の恋愛関係、あるいはそれに準ずる強い精神的結びつきを描いたコミック作品の総称です。現在でこそ一般書店や主要な電子書籍ストアで特設コーナーが設けられるほどメジャーな存在ですが、その源流には独特の出版文化とファンダムの歩みがあります。
言葉の変遷を振り返ると、1970年代に少女漫画誌で描かれた「少年愛」や「耽美」作品(竹宮惠子氏の『風と木の詩』など)が起点となり、1980年代には雑誌『JUNE』が独自の耽美カルチャーを確立しました。同時に、既存作品の二次創作として盛り上がったのが「やおい(やまなし、おちなし、いみなし)」です。1990年代初頭にこれらを包括する出版商業タームとして「ボーイズラブ(BL)」が提唱され、現在のような確立された商業出版レーベルへと昇華していきました。
「商業BL」と「やおい同人誌」の決定的な違いは、著作権の所在と流通形態にあります。商業BLは出版社が出版権を持ち、完全オリジナルのキャラクターと世界観でプロ作家が連載・単行本化するものです。一方、同人誌発のやおい文化は既存のアニメ・ゲーム作品をファン心理から再解釈する二次創作として発展してきました。現在では、同人誌で圧倒的な人気を獲得した実力派作家が商業BLレーベルで公式デビューするエコシステムが完全に定着しています。