今作の物語の中核をなすのは、アーティスト名「ヴァニラ・アイス」として一瞬にして時代の寵児となった本名ロバート・マシュー・ヴァン・ウィンクルの数奇な半生である。突如として全米チャートを駆け上がり、数多の記録を塗り替えた栄光。しかし、その急速な成功の裏には、商業主義に翻弄され、虚構のストリートストーリーを作り上げさせられた一人の青年の葛藤が存在した。
本作では、彼が背負わされた過剰なメディア像と、素顔のロバート・マシュー・ヴァン・ウィンクルが抱えていた孤独とのギャップが痛烈に描かれる。世間の容赦ない手のひら返し、バッシングの嵐、そして破滅の危機。熱狂と冷遇の両極端を味わい尽くした男の魂の軌跡は、観客の胸を激しく揺さぶるに違いない。