2013年オフ、無傷の24連勝という前代未聞の偉業を達成した田中将大を巡り、北米大陸のスカウト陣は狂乱状態に陥った。ポスティングシステムを利用して海を渡った彼は、名門ニューヨーク・ヤンキースと7年総額1億5500万ドル大型契約という破格のディールを結ぶことになる。当時、投手としてはメジャーリーグベースボール(MLB)史上5番目のメガコントラクトであり、ポスティング譲渡金2000万ドルを含めれば実質1億7500万ドル規模の巨額投資だった。
当時のヤンキース陣営には、エース級の右腕を絶対的に確保したいという強い焦燥があった。年平均で2200万ドルを超える高額年俸は、全盛期の彼が放つ圧倒的な支配力への代償だ。渡米初年度から13勝を挙げ、サイ・ヤング賞争いにも顔を出したパフォーマンスは、まさに巨額投資に相応しい見返りだったと言える。ピンストライプのユニフォームを身に纏い、名球会の打者たちを抑え込む姿は、世界で最も要求の厳しいメディアとファンを黙らせるに十分だった。