ドライアイスの取り扱いにおいて、最も恐ろしいのが「気化時の体積膨張」と「不可視の酸欠リスク」です。ネット上の実験を安易に模倣したことで生じるトラブルには、共通する典型的な物理的要因が存在します。
ドライアイスは固体から気体へ昇華する際、体積が約750倍に膨張します。密閉されたペットボトルやガラス瓶、プラスチック容器にドライアイスを入れて放置すると、容器内部の圧力が急上昇し、最終的に爆発的な破裂を引き起こします。破片が四方に高速で飛び散るため、失明や指の切断といった不可逆の重傷を負う事例が毎年発生しています。
また、ドライアイスを素手で触れると皮膚の水分が瞬間的に凍結し、細胞組織が破壊される「接触性凍傷(低温火傷)」を発症します。さらに、狭い室内や車内などの密閉空間で大量のドライアイスを保管・使用すると、気化した二酸化炭素が部屋の下方に滞留し、無自覚のまま意識を失う二酸化炭素中毒(酸欠事故)に陥る危険があります。換気の徹底と保護具の着用は、いかなる場面でも譲れない基本原則です。