「花びらが高すぎてよく見えない」「まだ蕾(つぼみ)ばかりで咲き揃っていない」という状況でも、幹の模様と蕾の付き方の特徴を観察すれば、プロ同様の正確さで樹種を特定できます。
まず注目したいのが、幹の模様(桜と梅の樹皮)です。桜の幹には、水平方向に走る特有の「横縞(皮目:ひもく)」がはっきりと刻まれています。樹皮全体は赤褐色から灰褐色で、若い木ほど表面に滑らかな光沢を帯びています。一方、梅の幹は年月を経るごとに表面がゴツゴツと荒れ、不規則な縦の割れ目や黒褐色のざらついた質感が際立ちます。古木の風格を感じさせる重厚な幹肌を見れば、花が咲いていない真冬でも梅だと識別できます。
さらに見逃せないのが、蕾の付き方と花芽の数です。枝の1つの節(ふし)から花がどのように出てくるかには、遺伝的な明確なルールが存在します。
梅の花の特徴と見分け方として、梅は枝の1つの節に対して原則「1個の花芽(単生)」しか付きません。そのため、枝に沿って行儀よく等間隔に一輪ずつ咲き並びます。対照的に、桜は1つの節(芽鱗)から花柄が放射状に伸び、1箇所から3〜5個の花が房状(房咲き)にまとまって咲きます。春の桜がモコモコとした圧倒的なボリューム感を放つのは、この房咲き構造による恩恵です。