直流モーター(DCモーター)がブラシの定期交換や火花対策を必要とするのに対し、三相誘導電動機は過酷な工場環境でも連続運転に耐えうる抜群のタフネスを備えています。これが産業界で不動の地位を築いている最大の理由です。
一方で、実務上の大きな課題となるのが「始動電流」の大きさです。停止している状態から電源を直入れ(全電圧始動)すると、定格電流の5〜7倍もの大きな突入電流が瞬時に流れます。これは工場の受電設備に電圧降下を引き起こし、他の精密機器にトラブルを与えるリスクがあります。
この対策として伝統的に用いられてきたのが「スターデルタ(Y-Δ)始動法」です。
始動時にはステータ巻線をスター結線(Y結線)にして電圧を $\frac{1}{\sqrt{3}}$(約58%)に下げて起動し、回転が安定した段階で通常のデルタ結線(Δ結線)に切り替えます。これにより、始動電流および始動トルクを直入れ時の3分の1に低減させることが可能です。
なお、現場配線における重要な基礎知識として三相誘導電動機の逆回転方法があります。モーターの回転方向を反転させたい場合は、三相交流電源の3本ある配線のうち任意の2本を入れ替えて接続するだけで、回転磁界の向きが逆転して簡単に逆回転します。