日本国内におけるこれら2つのシェアは、ほぼ単一の都道府県によって占められている。すだちは徳島県が全国シェアの90%以上を誇り、かぼすは大分県が同じく90%以上を占める。まさに地域の経済と食文化を象徴する「県の顔」だ。
徳島県では、吉野川流域を中心にすだちの栽培が盛んに行われてきた。阿波踊りの季節から秋口にかけて最盛期を迎え、地元では味噌汁やラーメンにまですだちを絞る文化が定着している。一方の大分県では、竹田市や臼杵市などがかぼすの主な生産地だ。大分名物の「とり天」や「ふぐ料理」にはかぼすの果汁が欠かせず、焼酎に厚切りのかぼすを浮かべるスタイルも定番となっている。
2026年現在の生産現場に目を向けると、気候変動による夏季の高温化に対応するため、両県ともにハウス栽培と露地栽培の組み合わせを高度化させている。年間を通じて高品質な生の果実が手に入る環境が整ったことで、東京や大阪の都市部レストランでも季節を問わず新鮮な香りが楽しまれている。