「仕事の合間にタバコを吸いながらPC作業をしたい」「落ち着いた空間で紫煙と共に読書を楽しみたい」という需要は、法改正後も決して消えていません。グルメポータルサイト大手の食べログが公表しているデータによると、全国で喫煙環境(分煙・喫煙ブース含む)を提供するカフェ・喫茶店は約1万7,618件、そのうち喫茶店単体でも約8,345件が登録されています。激減したと叫ばれながらも、一定のマーケットが確実に生き残っているのが実情です。
日本たばこ産業(JT)が提供する「CLUB JT 喫煙所MAP」の利用頻度がビジネスパーソンの間で高止まりしている背景には、喫煙可能な飲食店を探す手間の増大があります。特に東京都心の新宿・渋谷・新橋、大阪の梅田・難波、さらには名古屋の栄、福岡の天神といった主要ターミナル駅周辺では、喫煙ニーズの受け皿として機能する店舗に愛煙家が集中する「局地的一極集中」が発生しています。
現場の実態を観察すると、店舗の形態は大きく3つに二極化・多極化しています。第1に、大手チェーンに多い「完全分煙の飲食不可喫煙ブース設置型」。第2に、オフィス街の喫茶店に見られる「加熱式たばこ限定で飲食可能なフロア分離型」。そして第3に、昔ながらの個人経営店が維持する「紙巻きを含めた全席喫煙可能なレトロ純喫茶型」です。同じ「喫煙可能」という表記であっても、席で吸えるのか、紙たばこに火をつけられるのか、珈琲を飲みながら楽しめるのかによって、体験価値は天と地ほど異なります。