実際の被災現場で段ボールベッドを使用した被災者は、どのような感想を抱いているのか。避難所運営に関わった医療従事者や、自著や自治体の検証報告書で語られた生の証言からは、机上の空論ではないリアルな体験談が浮かび上がります。
「床に直に寝ていた最初の3日間は、寒さと背中の激痛で1時間おきに目が覚め、咳が止まらなかった。4日目に段ボールベッドが搬入されて横になった瞬間、あまりの温かさと静けさに涙が出た」(過去の震災避難所における被災者の手記より)
「立ち上がる時に膝に手をつかなくて済むだけで、高齢者が一人でトイレに行けるようになり、寝たきり状態への移行を防ぐことができた。現場の医師団としても、簡易ベッドの導入は関連死防止の最前線だと痛感した」(日本赤十字社・災害派遣医師の報告談話より)
一方で、SNSや避難所の生活者アンケートからは、段ボールベッドの寝心地と評判に関するシビアな本音も散見されます。
- 寝返り時の異音:「夜中に寝返りを打つたびに、紙同士が擦れる『ギシギシ』『キュッキュッ』という軋み音が静かな体育館に響き、周囲に気を使って熟睡できなかった。」
- 長期間使用によるヘタリ:「避難が3週間を超えた頃から、いつも腰が当たる中央部分が体重と汗の湿気で徐々にくぼんでいき、朝起きると腰が重く感じるようになった。」
- 硬さの問題:「平らで断熱性はあるが、やはり紙なのでクッション性はない。薄手の毛布1枚だけでは背骨が当たって痛むため、厚みのある敷布団やエアマットを上に敷かないと連夜の使用は厳しい。」
また、自治体が直面しているのが避難所段ボールベッドの必要数の確保と配備のスピード感です。内閣府の「避難所運営ガイドライン」では、発災後数日以内に要配慮者(高齢者、妊産婦、障害者など)へ優先的にベッドを行き渡らせ、最終的には避難者全体の需要を満たす備蓄計画が推奨されています。しかし、全避難者分の箱を平時から体育館内に備蓄しておくことは保管スペースの都合上困難であり、民間物流企業や段ボール製造企業との「災害協定」を通じた迅速な供給網の構築が現在も試行錯誤されています。