彼女が歩んできた生涯は、あまりにも過酷な悲劇に彩られていました。6歳という幼少期に、魚人島と地上の和解に命を捧げた母・オトヒメ王妃を凶弾によって目の前で喪失。さらに、自身の求婚者たるバンダー・デッケン九世の偏執的なストーカー行為から身を守るため、堅牢な「硬殻塔」の内部へ実に10年間ものあいだ幽閉される生活を余儀なくされました。
外部と隔絶され、ただ恐怖に怯えるだけだった彼女の運命を劇的に動かしたのが、麦わらのルフィとの出会いです。初対面で「お前、嫌いだ」「デカいのに弱虫で泣き虫」と容赦のない言葉をぶつけられながらも、ルフィの裏表のない強さと誠実さに触れたことで、しらほしの心の殻は音を立てて破られていきました。
魚人島を揺るがしたホーディ・ジョーンズの反乱において、彼女は驚くべき真実を告白します。母オトヒメを殺害した真犯人がホーディである事実を、ペットのメガロから知らされながら、誰にも告げず胸の奥深くにしまい込んでいたのです。「犯人を恨んではいけない」という母の遺言を守り抜くため、たった一人で耐え忍んだ孤独の重さは計り知れません。
そして、空中から落下する巨大な舟ノアによって魚人島が壊滅の危機に瀕した刹那、彼女の叫びに呼応して海王類が集結しました。無意識のパニックによる暴走ではなく、「誰かを守りたい」という強い祈りが引き金となって果たされた海王類の真の覚醒。この瞬間、しらほしは守られるだけの無力な弱虫から、自らの運命を引き受ける王女へと決定的な脱皮を遂げたのです。戦闘後にルフィと交わした「いつか本物の森を一緒に散歩する」という約束は、彼女が地上の光へ向かうための生涯の道標となりました。