スピノサウルスはなぜT-Rexを倒せた?Jp3の真相とその後を検証

スピノサウルスはなぜT-Rexを倒せた?Jp3の真相とその後を検証

スピノサウルスはなぜT-Rexを倒せた?Jp3の真相とその後を検証についての真相をご紹介します。

恐竜ファンを魅了し続ける一方で、スピノサウルスの学術的イメージは映画公開からの約四半世紀で最も激変した恐竜と言っても過言ではありません。映画の中の姿と、古生物学の最新学説との違いを整理すると、驚くべき進化の足跡が浮かび上がってきます。

2000年代初頭までは、映画のように「陸上を威風堂々と二足歩行する史上最大のメガ・セロポッド」と考えられていました。しかし、2014年にニザール・イブラヒム博士らのチームが発表した化石研究により、後肢が極端に短く、重心が前方に偏っていることから「四足歩行」または半水生生活に適応していた可能性が浮上し、学会に激震が走りました。

さらに2020年以降の研究では、尾の骨格がウミヘビやワニのように平たい「オール状(パドル状)」の構造を持っていたことが判明。骨の密度もペンギンやカバのように極めて高く、浮力を抑えて潜水することに特化していたことが立証されました。現在では、川や沿岸部を巧みに泳ぎ回り、主にノコギリエイの仲間などの大型魚類を捕食していた水中適応型アンフィビアン(半水生)ハンターという姿が定説となっています。

映画で聴く者を震え上がらせた、あの特徴的な鳴き声についても触れなければなりません。音響デザイナーのゲイリー・ライドストロームらは、スピノサウルスの声を表現するために、ライオン、ワニ、クマの唸り声に加え、アシカの低音やジャイアントパンダの荒い息遣いなど、極めて多層的な動物の音源をミックスして設計しました。映画のスピノサウルスは、実在の古生物を忠実に再現した標本ではなく、映画的スペクタクルとSF設定が融合した「究極の人工キメラ・モンスター」としての美学を極めているのです。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。