先天性ミオパチーは単一の病気ではなく、筋生検(筋肉組織を採取して顕微鏡で観察する検査)で見られる特徴的な構造異常によって複数の病型に分類されます。なかでも症例数の多い代表格がネマリンミオパチーとセントラルコア病です。
ネマリンミオパチーは、筋線維の中に「ネマリン小体(桿状小体)」と呼ばれる異常構造物が凝集する病態です。骨格筋のアクチン線維などに関わる遺伝子(NEB、ACTA1、TPM3など)の変異によって引き起こされ、四肢の脱力だけでなく、顔面筋の筋力低下によって面長で表情が乏しく見えたり、口蓋が高くなる(高口蓋)といった身体的特徴を伴う傾向があります。重症型では出生直後から人工呼吸器が必要となる一方、成人発症型では中年以降にゆっくりと歩行困難が進むなど、極めてスペクトラムの広い病型です。
対照的にセントラルコア病は、筋線維の中心部に酸化酵素活性が欠如した「コア」と呼ばれる領域が観察される疾患です。その大半は、筋小胞体からのカルシウム放出を司るRYR1遺伝子の変異に起因します。運動発達の遅れや近位筋の筋力低下が見られるものの、全体としては進行が非常に緩やか、あるいは非進行性であることが多いとされています。ただし、セントラルコア病には後述する全身麻酔時の重大なリスクが潜んでおり、正確な鑑別診断が生死を分ける鍵となります。