本作の説得力を極限まで高めているのが、ハリウッドの第一線で活躍するキャスト陣の卓越した演技力と、日本語吹き替え版の絶妙なキャスティングです。
主演のエイミー・シューマーは、全米屈指の人気スタンダップコメディアンであり、自ら脚本も手掛ける才女です。自虐的なユーモアの中に痛烈な社会風刺を織り交ぜる彼女のスタイルは、自信喪失に苛まれるレネーの哀愁と、勘違いによって爆発するエネルギーの両面を見事に体現しました。さらに驚くべきは、高級コスメブランドのCEOエイヴリー役を演じたミシェル・ウィリアムズです。『ブロークバック・マウンテン』や『マンチェスター・バイ・ザ・シー』など、重厚な人間ドラマで高い評価を得てきた彼女が、華麗な容姿と知性を持ちながらも「極端に甲高いアニメ声」に深い劣等感を抱える令嬢をコミカルかつ切なく熱演。「誰もが人知れぬコンプレックスを抱えて生きている」という映画のテーマに強烈な陰影を与えました。
また、日本国内の映画ファンから極めて高い支持を獲得しているのが日本語吹き替え版です。レネー役の吹き替え声優を務めたのは、日本を代表するお笑い芸人でありインフルエンサーの渡辺直美。彼女自身の持つ天性の明るさ、キレのある台詞回し、そしてコンプレックスを乗り越えて世界へ羽ばたいたリアリティがレネーのキャラクターと奇跡的にシンクロし、字幕版以上の熱量と笑いを生み出しています。脇を固めるエイヴリー役の園崎未恵、恋人イーサン役の落合福嗣といった実力派声優陣の確かな演技が、コメディとしての完成度を強固に支えています。
さらに、物語のテンションを押し上げる主題歌および劇中歌の選曲も見逃せません。オープニングや重要な場面で流れるMaroon 5(マルーン5)の「What Lovers Do (feat. SZA)」や、Meghan Trainor(メーガン・トレイナー)の「Me Too」は、まさに自己肯定感のアンセム。Alicia Keys(アリシア・キーズ)の「Girl on Fire」やSia(シーア)の「Cheap Thrills」など、エネルギッシュなポップチューンが物語の展開と完璧に連動し、観る者の気分を劇的に高揚させます。