「まさか、口の裏側から甲状腺を取るなんて想像もしていませんでした」
都内在住の会社員、佐藤美咲さん(仮名・34歳)はそう振り返ります。彼女が選択したのは、口唇の裏側から内視鏡を挿入して腫瘍を切除する「経口甲状腺手術(TOETVA)」です。従来の首の正面を横に切開する術式とは異なり、皮膚に一切傷が残りません。
2026年現在、この術式を導入する医療機関は全国的に増加しており、特に若い世代や接客業、人前に立つ仕事を持つ人々からの希望が殺到しています。佐藤さんは「術後数日は口元の腫れや違和感がありましたが、首元が開いた服をこれまで通り着られる喜びには代えられません」と語ります。医療の進歩は、身体的な治癒だけでなく、患者の精神的なQOL(生活の質)をも大きく守る時代に入っています。