鳥取市が抱える歪みは、商業の衰退だけに留まりません。市民が日々暮らすためのライフラインそのものが、維持限界の瀬戸際に立たされています。特に深刻化しているのが「公共交通の縮小」「空き家の爆発的増加」「医療介護の担い手不足」という三重苦です。
1. 路線バスの減便と地域公共交通の崩壊危機
鳥取市地域公共交通の課題は、全国の地方都市のなかでも際立って危険水域にあります。日本交通や日ノ丸自動車といった地元バス事業者は、深刻な運転手不足(2024年問題以降の労働時間規制強化)と採算性の悪化から、郊外路線を中心に相次ぐ減便や路線廃止を余儀なくされています。その結果、自家用車を運転できない高齢者が病院やスーパーへ行くことすら困難になる「移動難民問題」が中山間地域だけでなく市街地周辺部でも日常化しました。
2. 放置される危険空き家と資産価値の暴落
人口減少に反比例して急増しているのが空き家です。市内の旧城下町エリアや戦後の密集住宅地、農村部では、所有者が亡くなった後に相続放棄されたり、遠方の親族が放置したりする物件が後を絶ちません。鳥取市空き家問題対策として、行政は除却費用の補助や特定空家等に対する指導・勧告を進めていますが、解体費用の高騰と所有者特定の手間が壁となり、行政代執行が追いつかないのが現実です。倒壊の危険がある危険空き家や雑草が繁茂した管理不全住宅は、地域の防災力と治安を著しく損なっています。
3. 医療と介護現場の人手不足という時限爆弾
鳥取市医療介護の人手不足もまた、2026年現在の市民生活に重い影を落としています。団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となったことで介護需要はピークを迎えているにもかかわらず、現場のヘルパーや介護福祉士の有効求人倍率は極めて高い水準で高止まりしています。低賃金と重労働を敬遠して若い人材が集まらず、介護施設では「ベッドには空きがあるのに、職員が足りないため要介護度が高い高齢者を受け入れられない」という本末転倒の事態が各地で発生しています。