「超高校級の総統」という仰々しい肩書を背負い、構成員1万人以上の巨大秘密結社を率いていると豪語していた王馬小吉。しかし、物語が進むにつれて明らかになった彼の素顔は、本人が語る誇大妄想とは大きくかけ離れたものでした。研究教室で発見された証拠や動機ビデオによって判明した実態は、メンバーわずか10人ほどの愉快犯的イタズラ集団「DICE(ダイス)」のリーダーという真実です。
特筆すべきは、DICEの行動理念に掲げられていた「人を殺さない、誰も傷つけないくだらない悪戯」という厳格なポリシーです。街中で奇抜なピエロの仮面を被り、世間を少し騒がせる程度の悪ふざけを楽しんでいた彼らにとって、他者の生命を奪う行為は明確な禁忌でした。つまり、王馬小吉という少年は本来、暴力や殺人を最も忌避する倫理観の持ち主だったのです。
それにもかかわらず、なぜ彼はコロシアイ学園生活において、仲間を冷酷に切り捨てるような言動を繰り返したのか。その背景には、学園を支配するモノクマ、そしてその背後に潜む「首謀者」に対する徹底的な不信感がありました。生半可な善意や連帯感では首謀者の狡猾な罠に飲み込まれると直感した王馬は、自らを「最も油断ならない危険人物」「悪の権化」に仕立て上げる道を選びます。味方すらも欺き、誰とも手を取り合わない孤立した存在になることこそが、首謀者の監視の目をすり抜け、ゲームの根底を揺るがすための唯一の生存戦略だったと考えられます。