では、学内の実際の空気感はどうなっているのでしょうか。学籍データおよび取材情報によると、国際教養学部の学生構成はおよそ「留学生:約30%」「帰国子女・インター出身者:約35%」「国内一般校出身(純ジャパ):約35%」という絶妙な三層構造で成り立っています。
この比率が生み出すのは、日本国内でありながら完全なマイノリティ体験ができる特異な空間です。しかし、そこには目に見えない分断も生じがちです。学内ラウンジでは、流暢な英語でジョークを交わすグループと、日本語で固まるグループの間に心理的境界線が生じることも珍しくありません。
求められるSILSの英語力水準は極めて高く、一般選抜合格者の多くもTOEFL iBT 90〜100点以上、あるいは英検1級〜準1級高得点レベルの基礎力を備えています。しかし、ペーパーテストのスコアと「多国籍な議論の中で相手を説得する運用力」は別物です。ある卒業生は自著の回顧録で次のように語っています。
「文法的に正しい英語を頭で組み立ててから話そうとする日本人は、発言権を奪われ続ける。文法が崩れていても自己主張をねじ込む留学生に圧倒され、自分のアイデンティティを根本から揺さぶられた。」
この激しいカルチャーショックを「自己変革の好機」と捉えられるか、「劣等感の源泉」として抱え込んでしまうかが、この学部での満足度を真っ二つに分ける要因です。