麻生氏は吉田茂元首相を祖父に持ち、小学校から大学まで名門・学習院で学んだ華麗な経歴の持ち主です。海外留学経験もあり、教養人としても知られる同氏が、なぜこれほどまでに漢字を読み違えたのか。その背景には複数の要因が指摘されています。
第一に挙げられるのが、官僚が用意した答弁原稿の仕様と過密スケジュールです。歴代の内閣総理大臣が読み上げる答弁書には、誤読を防ぐために細かくルビが振られるのが通例でした。しかし、急激な経済悪化への対応に追われていた麻生政権下では、原稿の差し替えや急ごしらえのペーパー作成が日常化。ルビが不十分な原稿をぶっつけ本番で読まざるを得ない過密日程が重なっていました。
第二に、麻生氏特有の「早口かつアドリブを好む答弁スタイル」です。用意された原稿を一字一句追うのではなく、流し読みしながら自分の言葉で補足して話す癖があったため、パッと見の視覚情報で「綻」を「錠」と見誤るなど、思い込みによる読み間違いが頻発したと分析されています。
第三に、原稿自体の誤字も存在しました。「頻雑(ふんざつ)」と読んだケースでは、官僚側が「煩雑(はんざつ)」と書くべきところを誤って「頻雑」と記載しており、麻生氏自身がその誤字に引っ張られた形となった事実も後に判明しています。