かつて日本の菓子市場において、マシュマロはホワイトデーの返礼品や製菓材料といった「白くて素朴な脇役」に甘んじていました。その固定観念を根底から覆したのが、海外から波及したレインボーマシュマロの存在です。韓国発のプレミアムマシュマロブランド「Pongsindang(ポンシンダン)」の公式発表資料によると、本国での関連動画再生回数は1億回を突破し、日本国内への本格上陸時にもポップアップストアや公式通販へアクセスが集中する事態となりました。
この爆発的な人気の背景には、現代のデジタルカルチャーに最適化された3つの感覚的刺激(ビジュアル・触覚・聴覚)の融合が存在します。第1に、淡いピンク、イエロー、グリーン、パープルなどが織りなすグラデーションは、スマートフォンの画面上で圧倒的なコントラストを生み出します。第2に、従来品とは一線を画す「高密度なもっちり感」。そして第3に、TikTokやYouTubeで爆発的に再生される「ASMR(自律感覚絶頂反応)」との親和性です。
とくに、フリーズドライ加工を施した乾燥ミニマシュマロ「マロウポップ(MALLOW POP)」をはじめとするクリスピータイプは、噛んだ瞬間に「サクッ、シュワッ」と耳に心地よい破裂音を響かせます。若年層を中心とする消費者は、単に砂糖菓子を味わうだけでなく、「音を聴き、色を愛で、動画として発信する」という体験全体を消費していると言えます。昭和・平成の「味覚重視の菓子選び」から、五感で楽しむ「自己表現ツール」へとマシュマロの役割が大きくシフトした象徴的な事例です。