地域密着型スーパー銭湯として絶大な支持を得ていた「天然温泉 いちの湯 古河店」の閉店理由について、当時の公式アナウンスおよび業界関係者への取材から浮かび上がったのは、単一の赤字ではなく複数の深刻な構造問題でした。
最大の引き金となったのは、2020年春の新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言です。温浴施設は「密閉・密集・密接」の懸念から休業要請や営業時間短縮を余儀なくされ、いちの湯古河店も一時休業に入りました。しかし、水面下ではそれ以前から施設維持に関わる重大な課題が山積していました。
温浴業界の施設管理関係者によると、「開業から20年近くが経過した温浴施設では、地下の源泉汲み上げポンプの劣化、配管のスケール詰まり、大型ボイラーの全面改修に数千万円単位の設備投資が必要になる」と指摘されています。いちの湯古河店においても、重油・ガス・電気代といったエネルギーコストの上昇に加え、大規模修繕のタイミングが重なったことが、事業継続を断念せざるを得ない決定打となりました。