調味料のさしすせそで最も重要とされるのが、「砂糖が先で、塩が後」という鉄則です。この順序を逆にしてしまうと、料理の味がぼやけたり、甘みが全く乗らなくなったりする致命的な現象が起きます。その原因は、物質の分子量の大きさと浸透圧による細胞変化の2点に集約されます。
砂糖の主成分であるショ糖(スクロース)の分子量は約342であるのに対し、塩の主成分である塩化ナトリウムの分子量は約58.44に過ぎません。つまり、塩の分子は砂糖に比べておよそ6分の1という極めて小さいサイズです。分子が小さい物質ほど食材の組織の隙間から素早く内部へと拡散・浸透していきます。
もし塩を先に入れてしまうと、急速に食材内部へ入り込んだ塩分が強い浸透圧を生み出し、食材の細胞から水分を外へ吸い出して組織を硬く引き締めてしまいます(脱水作用)。一度細胞組織が締まってしまうと、分子量の大きい砂糖は食材の奥深くまで浸透することができません。結果として「外側はやたらとしょっぱいのに、中まで甘みが届かない」という失敗作が生まれてしまいます。だからこそ、浸透に時間のかかる砂糖を先に入れて甘みを定着させ、その後に塩を加えて味を整えるという順序が絶対的なセオリーとなるのです。