美大予備校選びにおいて、ネット上に根強く残る言説が「東京の有名メガ予備校に通わなければ藝大やタマビ・ムサビには受からない」という大手絶対神話です。しかし、この言説には構造的な背景と受験生側の認知バイアスが潜んでいます。
大手の合格者数が多く見えるのは、単純に「分母となる在籍者数が桁違いに多い」という母数効果が強く作用しています。合格率(通過比率)という客観的指標で精査した場合、地方や郊外の実力派アトリエが生徒一人に注ぐ指導密度は、マス教育を主とする大手校を上回る場面が多々あります。
もちろん、大手予備校が開催する「全国公開実技模試」は、自身の立ち位置や最新の入試トレンドを測る上で有効です。賢明な受験生は、「平日の密度の高い制作環境は地元の船美で確保し、腕試しとして大手の全国模試をスポット受験する」という併用戦略を採っています。日々の貴重な制作時間を電車移動で浪費せず、卓越した実力を持つ指導者に個別で見てもらえる環境を選ぶことは、現代の受験戦略として極めて合理的です。