天理系ラーメンを語る上で避けて通れないのが、「彩華(さいか)ラーメン」と「天理スタミナラーメン(天スタ)」の混同問題です。ご当地ラーメン初心者は「どちらも天理ラーメンで同じではないのか」と考えがちですが、ルーツと味の設計思想には明確な境界線が存在します。
まず発祥の歴史を見ると、彩華ラーメンは1968(昭和43)年に天理駅前の屋台で創業した「元祖・天理ラーメン」と呼ぶべき存在です。対する天理スタミナラーメンは1980(昭和55)年に屋台からスタートし、後発ながら急速にチェーン網を広げ、海外(ロサンゼルスなど)にも進出を果たしたグローバル志向のブランドです。
最も大きな違いは「スープのベース設計」にあります。
彩華ラーメンのベースは、澄んだ醤油ダレに大量のニンニクとラード、そして秘伝の辛味噌(辣醤)を効かせた直球勝負のキレ味。白菜がスープと一体化するまで煮込まれ、舌を刺すような鮮烈な醤油のコクとニンニクの刺激が前面に押し出されます。
一方、天理スタミナラーメンは、豚骨をじっくり炊き出した白濁スープと炒め油を乳化させたマイルドなコクが特徴です。辛さとニンニクの刺激がありながらも、豚骨由来の丸みと甘みが全体を包み込むため、後味が非常にクリーミーに感じられます。名張店に足繁く通っていたファンが求めているのは、まさにこの「豚骨×ピリ辛炒め白菜」の黄金バランスでした。