なぜ戦前の予想を覆す着順となり、ここまでの高配当が記録されたのか。レース映像をコマ送りで検証し、勝利騎手および陣営の共同会見でのコメントを照らし合わせると、勝敗を分けた決定的な要因が明確に浮かび上がってきます。
最大のファクターは、中山芝2500mという舞台設定が生み出す「特殊なペース配分」と「3〜4コーナーの進路選択」にありました。有馬記念が行われる中山内回りコースは、スタート直後にコーナーを迎えるため外枠の馬が位置を取りづらく、さらに道中で高低差5.3メートルの起伏を2度越えなければなりません。レース前半1000mの通過タイムは60秒8と平均ペースで推移したものの、向正面で後続馬が早めに動いたことで、残り800mから持続的なロングスパート合戦へと突入しました。
「道中は手応え以上に馬がリラックスしており、前がやり合う展開を冷静に見極めることができた」と振り返った鞍上の冷静な手綱さばきが光りました。1番人気馬が他陣営からの厳しいマークに遭い、勝負どころで外を回らされるロスを被ったのに対し、勝者は距離ロスを最小限に抑える内ラチ沿いの経済コースを選択。直線入り口で開いたわずかなスペースを鋭く突いた判断が、最後の急坂での爆発的な末脚を生み出したのです。
これがまさに有馬記念 万馬券の理由となった構造です。中山特有の急坂とタイトなコーナーが、スタミナを削られた先行勢を失速させ、タフな展開への適性とコース取りの利を得た実力派が着順を大きく押し上げることになりました。