定年後の収入減を補填してきた高年齢雇用継続給付ですが、国は段階的な給付縮小を進めています。法改正により、2025年4月1日以降に60歳に達した労働者から、給付金の上限が賃金の15%から「10%」へ引き下げられました。なお、2025年3月31日以前に60歳に達していた方は、経過措置として従来の最大15%支給が継続されます。
給付が縮小・廃止へ向かう背景には、明確な高年齢雇用継続給付の廃止理由が存在します。もともとこの給付は、60歳定年が主流で再雇用時の賃金大幅カットが一般的だった1990年代半ばに創設されました。しかし現在、70歳までの就業確保措置が努力義務化され、定年延長や定年廃止を選択する企業が増加しています。
公的給付が手厚すぎると、「企業が給付金を見越してシニアの基本給を意図的に低く設定する」「高齢者の能力に見合った賃金が支払われない」という弊害が生じます。政府はシニア世代の本格的な賃金底上げと能力発揮を促すため、公費による補填を縮小し、企業自律の公正な処遇体系への移行を加速させています。