こうした状況のなか、マナーの捉え直しを呼びかける専門家の声も大きくなっている。マナーコンサルタントの西出ひろ子氏や、日本ビジネスマナー協会といった現場の識者たちが一貫して発信しているのは、「相手本位」という原点への回帰だ。
西出氏らは、ルールを絶対視して形式に当てはめることの危険性を指摘する。マナーとは相手を縛る規則ではなく、相手を思いやる気持ちを形にする技術にすぎない。季節の変わり目であれば相手の健康を気遣い、繁忙期であれば労いの言葉をかける。そうした血の通った心遣いがあって初めて、言葉は生きたメッセージになる。
日本ビジネスマナー協会などの指針が示しているのは、マナーの正解は辞書の中ではなく、常に「相手の状況」の中にあるという原則だ。単なる言葉の正誤に囚われる姿勢自体が、すでにマナーの本質から逸脱しているといえる。