ステレオポニーが解散を発表したのは2012年10月のことでした。直前の同年8月、AIMIの喉に声帯ポリープが発見され、手術と静養のためにバンドは一時活動休止を発表していました。当時のファンや音楽メディアの間では「喉の回復を待ってすぐに復帰する」という見方が大勢を占めていただけに、休止発表からわずか2カ月後の「解散決定」は多くの憶測を呼びました。
一部のネットコミュニティでは「メンバー間の確執」「事務所とのトラブル」といった根拠のない噂が飛び交いましたが、当時の公式声明およびラストライブ時の本人の肉声が示す事実は全く異なります。療養期間に入り、デビュー以来走り続けてきた過密スケジュールから初めて物理的に切り離されたことで、メンバー3人は「自分自身の足でどんな音楽を鳴らしたいのか」という根本的な問いに向き合うことになりました。
10代前半で沖縄の音楽スクールで出会い、上京後は寝食を共にして駆け抜けた3人にとって、AIMIの手術による空白は、初めて「ステレオポニーという看板」を外して自立を考える契機となったのです。当時の会見や手記でも、AIMIは「休養中に一人で考える時間が増え、自分の表現したい音楽を一から紡ぎ出したいという想いが芽生えた」と語っており、NOHANAとSHIHOもまた、別のアンサンブルを探求したいという明確なアーティストとしての自我を確立させていました。結果として、互いの音楽的自立を尊重した前向きな決断こそが、2012年12月27日の渋谷CLUB QUATTROでのラストライブへと繋がったのです。