資格試験対策スクールやIT研修の現場受講生から毎年必ず聞こえてくるのが、「10進数を経由して計算していたら時間が足りなくなった」「割り算の余りを書き写す段階で桁がずれた」という悲鳴です。大手ITスクール講師や情報処理技術者試験の指導者たちへのヒアリングでも、不合格者の多くが基数変換で余計なタイムロスを生んでいる実態が浮き彫りになっています。
どれほどロスが発生しているのか、実数値で比較してみます。例として「5E」という16進数を2進数に直す作業を想定します。
【危険な遠回り:10進数経由のルート】
まず5Eを10進数に直すため、「5 × 16 + 14 = 80 + 14 = 94」と筆算します。次に94を2で繰り返し割っていきます。「94 ÷ 2 = 47 余り 0」「47 ÷ 2 = 23 余り 1」「23 ÷ 2 = 11 余り 1」「11 ÷ 2 = 5 余り 1」「5 ÷ 2 = 2 余り 1」「2 ÷ 2 = 1 余り 0」「1 ÷ 2 = 0 余り 1」。並べて「01011110」。この間、平均所要時間は約45秒〜60秒。途中の割り算ミスが混入する確率は極めて高くなります。
【プロの直線ルート:4ビット直接変換】
「5」を見て即座に「0101」。「E(14 = 8 + 4 + 2)」を見て即座に「1110」。合体させて「01011110」。所要時間はわずか3秒です。
基本情報技術者試験の基数変換問題において、午前・科目A試験は限られた時間内で大量の設問を捌かなければなりません。1問に1分近く浪費していては、アルゴリズムやプログラミングといった配点の高い後半問題に割く時間が奪われます。10進数への寄り道は、単に計算が面倒なだけでなく、合格率を直接押し下げる要因に他なりません。