函館の海鮮居酒屋を巡る環境は、ここ数年で劇的な変化を遂げています。函館市水産物地方卸売市場の統計データを紐解いても、かつてのようなスルメイカ(真イカ)の記録的な大量水揚げは過去のものとなり、1杯あたりの仕入れコストは高止まりを維持。2026年の現在、函館いか清の活イカ刺しは時価で概ね2,800円〜4,500円前後を推移しており、サイズや天候不順によってはそれ以上の高値がつく日も珍しくありません。
それでも客が同店を目指すのは、店内の大型生け簀(いけす)から揚げた直後、わずか数分で提供される「完全な透明度とコリコリとした歯ごたえ」が、他の追随を許さないからです。いかは非常にストレスに弱く、水槽の温度管理や水流調整が1度狂うだけで命を落とすデリケートな生き物。創業から培われた徹底した活魚管理技術があるからこそ、耳や下足がまだピクピクと動く本物の活造りが卓上に届きます。
年間を通じてイカを楽しめるのも同店の強みです。初夏から初冬(6月〜12月頃)は濃厚な肝(ゴロ)が絶品の「真イカ(スルメイカ)」、冬から春(1月〜5月頃)は繊細な甘みと柔らかさが際立つ「ヤリイカ」がリレー形式で入荷します。「いか清に行けばいつでも同じイカがある」わけではなく、季節ごとの明確な味の違いを理解しておくことこそが、旅の満足度を一段引き上げる鍵となります。