四足獣であるうさぎが鳥として数えられるようになった最大の要因として語り継がれているのが、仏教の戒律と肉食禁止令にまつわる歴史的背景です。
675年、天武天皇によって発布された「肉食禁止令」をはじめ、仏教が広く浸透した古代から中世の日本では、牛や馬、犬、猿、鶏などの肉を食べることが厳しく制限されていました。特に「四足歩行の獣」を口にすることは穢れ(けがれ)や罪深い殺生と見なされていた時代です。
しかし、冬場の山間部で暮らす人々や修行に励む僧侶にとって、貴重な栄養源であるタンパク質を完全に断つことは生命の危機に直結しました。そこで生み出されたのが、「うさぎは四足獣ではなく鳥の仲間である」という方便(こじつけ)です。
当時の人々は、うさぎを鳥類に分類することで戒律違反の罪悪感を回避し、堂々と食卓に並べました。その名残として、鳥を数える助数詞である「羽」がそのまま定着したというのが、現在もっとも有力視されている歴史の真相です。