実家の火事と弟の非業の死に直面したさんまは、「弟が死んだのに、テレビでアホな顔をして人を笑わせることなどできない」と深刻な罪悪感に苛まれ、芸人の引退を真剣に考えました。通夜や葬儀の場でも憔悴しきり、涙が枯れ果てるほど泣き崩れたと伝えられています。
その極限状態からさんまを引き戻したのは、盟友・ビートたけしをはじめとする仲間たちの存在でした。仕事に復帰した際、たけしはあえて過剰な同情を寄せず、「おいさんま、お前の実家、バーベキューやったんだってな」と、常識外れのブラックジョークで迎えました。この一言で芸人としてのスイッチが再び入り、さんまは「誰がバーベキューやねん!」とツッコミを返しながら、泣き笑いの中で舞台に踏みとどまる覚悟を決めたといいます。
この壮絶な体験は、のちに大竹しのぶとの間に生まれた長女の命名「IMALU(いまる)」、すなわち「生きてるだけで丸儲け」という人生哲学へと昇華されました。命があること自体が最大の幸福であるという境地は、最愛の弟を理不尽に奪われた筆舌に尽くしがたい痛憤を通過したからこそ生まれた、真実の重みを持つ言葉です。