「スープ作りに妥協という言葉はありません」――店主は静かに、しかし確信に満ちた口調で語る。寸胴の中で静かに踊るのは、厳選された数種類の地鶏ガラと丸鶏、そして全国から取り寄せた乾物類だ。
化学調味料に一切頼らない「無化調スープ」は、素材の旨味を極限まで抽出する温度管理が命となる。わずか1度の狂いが全体のバランスを崩すため、火加減の微調整は数時間おきに手作業で行われる。この門外不出の出汁に合わせるのは、特注の製麺機で毎日店主自らが打ち立てる「自家製麺」だ。北海道産小麦の配合比率を季節や湿度によってミリ単位で調整し、しなやかな喉越しと力強いコシを両立させている。啜った瞬間にスープと麺が渾然一体となり、圧倒的な旨味が押し寄せる。