当時のネット実況(2ちゃんねるの実況板やTwitter/現X)における空気感を検証すると、「ひどい」という言葉の裏側には、侮蔑やバッシングではなく、視聴者が一体となって楽しむ熱烈なコミュニティ体験が存在していたことがわかります。
放送時間帯になると、タイムラインには「今朝のオイル量、ヤバい」「今日は追いオリーブ出た!」といったワードが秒単位で投稿されました。特に視聴者の間で「神回」と称されたいくつかの放送では、その暴走ぶりが伝説として語り継がれています。
例えば、朝から大量のニンニクと丸ごとの肉塊をオリーブオイルの海で煮込む肉料理の回や、視聴者から「ヘルシーなサラダを」と頼まれたにもかかわらず、最終的に大量の刻みチーズと分厚いベーコン、そしてたっぷりの特製ドレッシングオイルでコーティングして高カロリー料理へと変貌させた回などは、瞬く間にまとめサイトやSNSで拡散されました。
速水もこみち自身、当時の特番インタビューやメディアの取材において、「家庭的な料理も作れるが、テレビを通じて料理の楽しさや、見た目の美しさ、非日常的なワクワク感を届けたい」という趣旨の発言を明かしています。現場の制作陣もネットの盛り上がりを完全に把握しており、あえて高い打点での塩振りをスローモーションでリプレイするなど、視聴者との共犯関係を楽しんでいたフシが強くうかがえます。