父親の借金問題は解決に向かうどころか悪化を辿り、やがて両親は離婚。勝也氏は家族の前から姿を消した。坂上忍は十代にして父親が遺した莫大な負債を背負い、返済のために休むことなく働き続けることを余儀なくされた。父親に対する激しい怒りと確執は、彼の青春時代を深く支配していた。
20代後半でようやく約1億円の借金を全額返済し終えた時、胸に残っていたのは達成感ではなく、虚無感と父親への深い断絶だった。その後、父親が息を引き取ったという訃報が届いた際も、彼は葬儀に参列しなかった。憎しみと拒絶の溝はそれほどまでに深く、簡単に癒えることのない傷痕として心に刻まれていたのである。