DH制議論を語る上で避けて通れないのが、パ・リーグとの明らかな戦力格差と実績の差だ。セ・パ交流戦や日本シリーズの歴史的戦績を振り返れば、パ・リーグ優位の時代が長く続いた事実は否定できない。DH制を長年採用してきたパ・リーグは、打撃専門の強力な大砲を枠にとらわれず起用できるだけでなく、野手の育成枠が実質的に1つ多いという構造的アドバンテージを享受してきた。
結果として、パ・リーグの投手は常に打撃の切れ目がない強力打線と対峙することで鍛えられ、野手もレベルの高い投球に対応する力を養うサイクルが確立された。この対比が明確になるたび、「セ・リーグがDH制を導入しなければ、中長期的な戦力均衡は保てない」という危機感がリーグ内部で強まっていったのである。