彼女のレスリング人生は決して平坦ではなかった。旧姓・坂本時代、階級上のライバルとの熾烈な枠争いに敗れ、北京への道を絶たれた失意から一時は引きこもり生活を余儀なくされた。体重増加と精神の失調。そんな極限状態の彼女を優しく包み込み、再びレスリングの世界へ呼び戻したのが小原康司氏である。
結婚を経て、女子レスリング48kg級へと階級を変更。しかし減量は苛烈を極めた。康司氏は自らの現役経験を活かし、栄養管理からメンタルケア、さらには練習相手に至るまで全生活を彼女のサポートに捧げた。二人三脚での血の滲むような努力が、ついに2012年ロンドンオリンピックの地で大輪の花を咲かせたのだ。