過去700万年の進化が自然環境への適応だったとすれば、これからの人類の進化は「自らデザインする人為的進化」のフェーズへ突入する。
ゲノム編集技術(CRISPR-Cas等)の実用化により、遺伝性疾患の撲滅から身体能力・知能の拡張に至るまで、生殖細胞レベルでの改変が現実味を帯びている。さらに、脳とコンピューターを直結するBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)や人工知能(AI)との共生は、生物学的な肉体の制約を超えた「ポスト・ヒューマン」への進化シナリオを描き出す。
同時に、火星移住をはじめとする宇宙環境への進出が進めば、地球とは異なる低重力・高放射線環境下で数世代を過ごす集団が生まれ、地球人類とは異なる身体的特徴を持つ「新たな人類種への分岐」が数百年単位で起こり得ると宇宙生物学の専門家らは指摘している。
【プロの結論】700万年の適応史が示すホモ・サピエンスの生存戦略
人類の歴史を振り返れば、強靭な筋力や鋭い爪牙を持たなかった弱小な霊長類が生き延びられた理由はただ一つ、「他者と協力し、環境の変化に柔軟に適応する可塑性(かそくせい)」にあった。テクノロジーが加速度的に進化する2020〜2030年代において私たちが問われているのは、遺伝子の改変技術そのものではなく、かつて旧人たちと交雑し共生を選んだように、多様性を受け入れ大規模な協調を維持できるかという社会的知性である。