既婚者マッチングの世界において、男女の置かれた状況は非対称極まりないのが実情です。
50代既婚男性が直面するマッチングアプリの現実は、率直に言って過酷です。男性側は高額な月額料金を支払い、入念にプロフィールを作り込んでも、相手が求める条件に合致しなければマッチング画面に返信が届くことはありません。女性側が50代男性に求める基準は「清潔感」「年相応の経済的ゆとり」「家庭を壊さない配慮」「聞き上手の包容力」の4点に集約されます。自慢話ばかり並べ立てたり、若作りが空回りした痛々しい写真を掲載したりしている男性は、即座に対象外へと振り分けられます。
一方で、50代既婚女性のマッチングアプリ利用心理はより複雑です。彼女たちの多くは「性的な刺激」だけを求めているわけではありません。何十年も家族のために尽くし、家事や介護に追われる中で、「母」でも「妻」でもない「一人の女性」として扱われたいという承認欲求が原動力になっています。「夫からは名前すら呼ばれなくなった」「何を食べたいか、今日どんな気持ちだったかを純粋に聞いてくれる相手が欲しかった」という告白が示す通り、満たされない感情の穴を埋める作業に近いのです。しかし同時に、背徳感や家庭崩壊への強い恐怖を常に抱えながら利用している点も特徴的です。