台風の進路を精査する際、気象庁の発表と併せて必ず比較されるのが、米軍合同台風警報センター(JTWC)の警戒情報と、ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)によるアンサンブル予測です。ネット上では「米軍の情報の方が進路がブレない」「ヨーロッパの予測が最も当たる」といった言説が散見されますが、それぞれの機関には算出ロジックと運用の違いが存在します。
取材に応じた気象関係者は、「気象庁の風速は10分間平均で算出される一方、米軍は1分間平均を採用しているため、米軍発表の最大風速の方が1.1〜1.2倍ほど高く表示される構造的な違いがある」と指摘します。進路予想の線がわずかに異なって見える場合でも、気象庁の予報円(中心が70%の確率で入る範囲)の内側に各国の予測モデルが収まっているケースが大半です。海外データを過度に恐れたり気象庁を軽視したりせず、両者を統合して進路のブレ幅を把握する姿勢が不可欠です。