現在のお笑いシーンを語る上で欠かせないのが、絶対的な技術力を誇るベテラン勢の存在感だ。歌唱モノマネの最高峰として君臨し続ける荒牧陽子は、ミリ単位のピッチコントロールと圧倒的な声量で、聴く者を圧倒し続けている。『ものまね王座決定戦』などの特番で見せる緊迫感あふれるパフォーマンスは、もはや単なるバラエティの枠を超えた音楽芸術の領域にある。
一方で、人間の本質を鋭利なナイフで抉り取るようなデフォルメ芸で唯一無二の地位を築いているのがミラクルひかるだ。宇多田ヒカルや笠置シヅ子といった名だたる歌姫から街の一般人まで、対象の細かな息遣いや仕草を驚くべき解像度でコピーする彼女のステージは、狂気と愛が絶妙に入り混じる。技術で魅了する歌姫と、人間観察の極致を見せる怪物。この二つの潮流が、後進たちの目標として高くそびえ立っている。