歴史の原点は1902年に遡る。創業者である木下唯助が岡山の地で立ち上げた「木下興行部」こそが、現在の木下サーカス株式会社の源流だ。戦火の混乱や幾多の経済危機、さらには感染症による興行停止という未曾有の逆境すらも、彼らは天幕の柱を強固に打ち直すことで乗り越えてきた。
節目として大成功を収めた木下大サーカス創立120周年記念公演の熱狂を経て、カンパニーの創造力はさらに加速した。埃まみれの道具を整備し、夜明け前から動物たちの健康状態を確かめる団員たちの姿は、一世紀以上前の岡山公演から寸分違わず受け継がれている。単なるノスタルジーではない。歴史が積み上げた無言の規律が、地上十数メートルのワイヤー上で極限の技を成立させる確固たる土台となっているのだ。